表向きは保険会社の調査員だが裏では車専門の窃盗団のリーダーであるペイス(H・B・ハリッキー)は高価な希少車を大量に手配して欲しいという依頼を受ける。仲間たちと手際良く対象車を盗んでいくペイスだったが、彼らが『エレノア』と呼ぶ73年型のマスタングだけはなかなか手に入れられずにいた。そんな中『エレノア』の情報を入手したペイスは見事に車を盗みだすが、彼に恨みを持つ仲間の通報により現場には刑事が待ち伏せしていた。『エレノア』を奪ったペイスを警察が追い、ロサンゼルスの町で壮絶なカーチェイスが始まる。
監督・製作・原案・脚本:H・B・ハリッキー、撮影:ジョン・ヴァセク、音楽:フィリップ・ハチャトリアン、編集:ワーナー・E・レートン、スタント:ブッチ・ストックトン、フィル・ウッズ。
オープニングのモノクロ写真と音楽から渋くてカッコ良く、そこから前半はドキュメンタリー風犯罪映画の趣きで進行していき、ストーリーを追うというよりもムードを伝えるような凝った編集が独特の味わいになっていて楽しかった。
で、後半は延々と30分以上に及ぶマスタングの大暴走カーチェイスで、もちろんノーCGの映像は単純に凄かった。とは言えさすがに長くてちょっと後半眠くなったが。で、そのカーチェイスは基本主人公の爆走ぶりが痛快なんだけど、その最中、所々に生々しい交通事故のイメージを想起させるショットが入ってきたり、背景にタイヤメーカーや自動車メーカーの看板を意味ありげに映り込ませて、まるで車業界が現代社会を牛耳ってますよというイメージを浮かび上がらせたりと無茶苦茶なカーチェイスを見世物としてやっているのに車社会への警鐘みたいなカットを入れてくるあたりの謎演出も味ではあった。
ところで今回BSプレミアムで観ていて、エンドロールでどうやらリマスター版だったらしいと分かったんだけど、そこについての情報は特に何の表記も無かったので実際どこがオリジナルと違うかは不明…。
Gone in 60 seconds (1974) Trailer - YouTube